マイクロ法人を設立して直面する様々な事務手続き。別の記事ではマイクロ法人に向けた年末調整の仕方について紹介しました。
マイクロ法人、源泉徴収してなくても年末調整は必要?
面倒な年末調整が終わってホッと一息…したいところですが、まだやることがあります。住民税を決定するために市区町村に「給与支払報告書」を提出しなくてはいけません。マイクロ法人で役員報酬が「無税」の場合でも必要な手続きです。これも年末調整の一部と考えておきましょう。
今回は「給与支払報告書」を作成して提出するまでの一連の流れをご紹介します。今年マイクロ法人を設立した私もここに記載の手順で手続きして問題なく受理されました。
- 給料が少なくても給与支払報告書は提出する?
- 給与支払報告書の書き方
- 給与支払報告書の提出方法
- 住民税普通徴収の場合の注意点
- eLTAXの注意点・郵送による提出方法
では始めましょう♪
【マイクロ法人向け】給与支払報告書の書き方・提出方法
給与支払報告書とは?
従業員の住民税を決定するために市区町村に提出する書類です。
「給与支払報告書」等の市区町村への提出
法定調書の提出義務者は、「給与支払報告書」及び退職所得に係る「特別徴収票」をそれぞれ所定の市区町村に提出する必要があります。「給与支払報告書」を市区町村へ提出する場合には、「給与支払報告書(総括表)」を添えて提出してください。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7400.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7411.htm
従業員が居住する市区町村に提出するため従業員が多い企業では市区町村ごとに書類を作るという大変な作業ですが、マイクロ法人の場合は役員自分一人だけか、自分と家族だけというケースが多いので基本的に提出先は一箇所になると思います。
ちなみに私は年の途中に会社から独立して個人事業主とマイクロ法人の二刀流を始めました。退職した会社側でも退職者として私の給与支払報告書を出していることになります。
提出の対象外になる人
年間支払額30万円以下の退職者は給与支払報告書の提出の対象外です。
年間支払額が30万円以下であっても退職者でなければ提出義務があるので、役員報酬の少ないマイクロ法人の場合でも提出が必要です。
提出期限
1月31日までに前年支払分の給与支払報告書を提出します。
提出方法
給与支払報告書の提出方法には自治体ごとに定めがありますが、基本的には以下の方法があります。
- 役所の窓口に提出・郵送する
- eLTAXを利用する
- eLTAXを使える有料の申告サービスを利用(PCAやfreee申告など)
提出する自治体で決められている給与支払報告書の提出方法にどんなものがあるかは事前にHPを見て調べておきましょう。「給与支払報告書 〇〇市」で検索すれば役所のHPにアクセスできるはずです。
有料の申告サービス
郵送やeLTaxによる提出は、提出先が一箇所であればそこまで問題になりませんが複数箇所となるとだいぶ手間になります。そんな時は複数の提出先に自動で申告できるような有料の申告サービスの利用が現実的です。
対応ソフトはeLTAXのHPから確認できます。このブログで何度か紹介しているマネーフォワードクラウド会計ですが、付帯サービスのクラウド年末調整で申告機能が利用できるようなんですがまだ実装されてません(令和3年12月現在)。よく比較されるfreeeは申告ソフトと会計ソフトは別料金なので、マネーフォワードで年末調整関連の申告が使えるようになるとだいぶ使い勝手が良いですね。また進捗があれば記事にしたいと思います。
eLTAXの利用の注意
年末調整の時にはe-Taxを利用して法定調書を提出しましたが、市区町村に提出する給与支払報告書はeLTAXという公的サービスが利用できます。
eLTAXもWeb版とダウンロード版がありますが、給与支払報告書の提出はダウンロード版でしか使えず、Windowsのみ対応となっています。WindowsPCをお持ちの方でeLTAXを利用して提出する方はeLTAXのマニュアルを見て操作していきましょう。
私もeLTAXを利用したかったんですが、私のWindowsPCはだいぶ古く何もかもが遅いのでeLTAXの利用は諦めました…。以下の章では郵送による提出を前提に給与支払報告書の書き方・提出方法をご紹介します。
提出書類の書き方・作り方
マイクロ法人の場合は個人事業主との二刀流で事業をしています。そのため住民税を普通徴収にすることを前提に書類を記入していきます。
提出する書類は基本的に以下の3種類です。
- 給与支払報告書(総括表)
- 給与支払報告書(個人)
- 普通徴収切替理由書
書類の入手方法
書類は提出先の市区町村のHPから入手します。「給与支払報告書 〇〇市」で検索すれば出てくるはずです。私の場合、市役所のHPから以下のような書類のダウンロードページを見つけました。
「総括表」と「個人別明細書」があります。私のマイクロ法人は役員が自分だけの完全一人法人なのでそれぞれ一枚取得します。ダウンロードして印刷して手書きしてもいいですし、入力用のExcelから印刷してもいいです。
書類の書き方
給与支払報告書 総括表
市区町村のHPから総括表をダウンロードするとこのようなPDFが表示されます。
注意するポイントとしては
- 普通徴収にするので普通徴収に人数を記入
- 普通徴収の理由の人数を記入
この総括表には普通徴収切替理由書が同じ用紙に含まれているので、ここで普通徴収にする理由を記載します。マイクロ法人で役員報酬が無税の場合は「普C」になります。
給与支払報告書 個人別明細書
個人別明細書をダウンロードするとこのようなPDFが表示されます。同じものが2枚並べて表示されているように見えますがどちらも「市区町村提出用」なので両方に記入が必要です。
記入欄がものすごく多いように見えますが、年末調整の記事でもお伝えした通り個人事業主とマイクロ法人の二刀流の場合は生命保険料・扶養者など控除の申告は確定申告で行えばいいので、実際記入することはそこまで多くないです。
普通徴収切替理由書
私の市区町村では総括表に記載されていた普通徴収切替理由書なんですが、特別徴収者と普通徴収者が両方いる場合は仕切紙として挟むようです。
なんとも役所手続き感が強い独特の仕様…。普通徴収者のみの場合は仕切紙としては不要ですが、総括表に普通徴収切替理由書がない自治体では必要になります。提出書類の中に「普通徴収切替理由書」がちゃんあるかどうかを確認してくださいね。
記入例
さて、市区町村のHPからダウンロードした書類の例を挙げましたが、市区町村からダウンロードした書類以外にも一般的な書式のものであれば受付できます。
私はマネーフォワードクラウド会計ソフトを利用しているので、付帯機能の「クラウド年末調整」から給与支払報告書は自動作成できました。こちらが実際に作成・提出した書類です。
【総括表】
【個人別明細書】
*こちらは左側のみの画像です
年末調整で作成した源泉徴収票と基本的に記載内容は同じです。
- 支払金額:その年に支払った給与の合計
- 所得控除の額の合計額:社保負担分 + 基礎控除48万円
- 摘要部分に普通徴収の理由を記載
このあたり自分で計算して記入して…というのは面倒ですしミスにも繋がるので会計ソフトで自動作成したものを利用することをお勧めします。
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「クラウド年末調整」からは普通徴収切替理由書は自動作成されないので(電子申告で提出の場合は提出不要のため)上にあげた自治体のHPの書式のものをダウンロードして記入しました。
書類の提出
では書類の準備ができたので郵送で提出します。提出の際は上から
- 総括表
- (普通徴収切替理由書)
- 個人明細書
の順番になるように綴じて郵送します。私の自治体では
提出物の控えが必要な場合は、提出物のコピーと、返信用封筒(宛名を明記し、切手添付のこと)を同封してください。
とHPに記載があったので返信用封筒も同封して郵送しました。
以上で手続き完了です!お疲れ様でした。
【これも確認!】1月末までに提出・償却資産申告書
さて、無事に手続き完了でようやくホッと一息…したいところですが、もう一つ確認しておきたい書類が償却資産申告書です。同じく市区町村に1月末までに提出する書類で基本的に全ての事業者が提出必須です。こちらの記事で詳しく解説しているのでまだ提出していない方は読んでみてくださいね。
まとめ
この記事では給与支払報告書の書き方・提出方法についてご紹介しました!年末調整で使うe-Taxとはまた別の手続きでややこしいですが、マイクロ法人でも必要な手続きなので忘れずに手続きしましょう。
年末調整関連の記事はこちらでも紹介しているので参考にしてみてくださいね。
やはりWindowsPCがないと役所手続きは辛いな…と実感。そのうち手頃なものを購入予定なので次回はeLTAXを使った申告方法を紹介できるようにしておきたいと思います。
以上、お読みいただきありがとうございました♪
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