個人事業主との二刀流、マイクロ法人の売上がなくても大丈夫?

個人事業主との二刀流、マイクロ法人の売上がなくても大丈夫? キャリア

個人事業主とマイクロ法人の二刀流で事業を始めようと思ってます。マイクロ法人の売上がちゃんと出るのか不安…それでも大丈夫?

前の記事で、個人事業主とマイクロ法人の二刀流は「社保の最適化」ができ、個人事業主だけで事業を行う場合と比較して保険料がかなりお得になるということを解説しました。

会社員から個人事業主へ。マイクロ法人の二刀流は本当にお得?!

二刀流で事業を始めよう!と思った時に大きな壁になるのがマイクロ法人で本業とは別の事業を行い一定の売上をあげる必要があるということ。

私も数ヶ月前から二刀流で事業を始めましたが、それまでに副業経験なし。マイクロ法人の設立を機にIT関係の副業をしようと計画していましたが、売上が出るのかすごく不安。そんな状況だったので、最悪売上が全然あがらなかった場合でもマイクロ法人を設立するメリットはあるのかという点について調べてきました。

結論を先に言うと、マイクロ法人の売上が出なくても大丈夫です。それでも社会保険料の最適化ができマイクロ法人を設立するメリットがあります。だたし注意するポイントもあります。

今回はマイクロ法人設立時に私が実際に行った売上がない場合のシミュレーションや役員報酬の決め方について詳しく解説していきます。

この記事を見ればこんな疑問が解決します。

・売上がなくても社保の最適化ができるの?
・売上がなくてもかかるマイクロ法人の維持費っていくら?

・そもそも会社の売り上げがないって大丈夫なの?
・売上が未定の場合、役員報酬はどうやって決めればいいの?

では始めましょう♪

個人事業主との二刀流、マイクロ法人の売上がなくても大丈夫?

個人事業主とマイクロ法人の二刀流の壁

個人事業主とマイクロ法人の二刀流は

  • メイン事業(稼ぎ頭)を個人事業主で行う
  • 副業をマイクロ法人で行う

というように事業を分けることで個人事業主側でたくさん稼いでもマイクロ法人で最低金額で社保に加入できるという仕組みです。マイクロ法人の事業は目安として年間売上80万円程度、役員報酬を4.5万円ほどに設定すると最低金額で社保に加入できます。

会社員から個人事業主へ。マイクロ法人の二刀流は本当にお得?!

ここで私の中で大きな問題だったのは「マイクロ法人で行う事業で一定の売上が立つかわからない」ということ。

副業経験がない方は同じように感じる方も多いのではないでしょうか。本業をしながら初めての副業で年間80万円程度の売上を上げる、そして一定の役員報酬を出し続ける。「絶対に売上をあげなきゃいけない!!」というプレッシャーが辛いですし、特に初年度はわからないことだらけで売上の目処を立てるなんて難しい…

最悪売上がなくても個人事業主とマイクロ法人の二刀流は成り立つのか?
これが解決すれば安心して二刀流にチャレンジできそうです。以下で深掘りしていきましょう。

売上なくても社保は最適化できるのか?

改めて、マイクロ法人を作り二刀流で事業をする理由は社保の最適化です。ではマイクロ法人で売上があがらない場合でも社保の最適化ができるのかを確認していきます。

個人事業主だけの場合と、個人事業主とマイクロ法人(売上0)の二刀流の保険料の負担を比較してみます。

【個人事業主だけの場合】

個人事業主シミュレーション

売上が1,000万円、経費200万円と仮定して算出した税金と保険料です。個人事業主の場合は社保ではなく国民年金と国民健康保険に加入します。

国民年金:199,320円
国民健康保険料:712,168円
合計:911,488円

【個人事業主とマイクロ法人(売上0)の二刀流】

(社保に最低金額で加入する場合)
健康保険料:5,707円 * 12ヶ月

厚生年金保険料:16,104円 * 12ヶ月
会社維持費用:年20~30万円

合計:約460,000~560,000万円 *役員報酬の支払いについては後述します

会社の維持費を考慮しても約30万円程度は個人事業主とマイクロ法人の二刀流の方がお得です

社会保険料の最適化という意味では売上がなくてもマイクロ法人を設立するメリットはあります。社保の金額に関しては最低金額で加入するように役員報酬を決めれば売上の大小に関係しないからです。

個人事業主の所得によっては法人維持費のほうが高くつく

注意が必要なのは、個人事業主の所得が低い場合に法人維持費の方が高くつくことがあるということです。上の例では所得800万円で計算しましたが、今度は300万円で計算してみましょう。

国民年金+国民健康保険が約43万円。社保に加入すれば26万円ほどになるので保険料の最適化はできていますが、年間20~30万円の会社維持費も考慮すると二刀流の方が負担金額が高くなります

会社維持費は税理士をどうするかなどで変わるものですが、年間20万円というのはだいぶ低く見積もった方です。

  • 会社維持費も考慮して二刀流の方が負担が大きい
  • 会社運営の事務処理の手間

この辺を考慮すると、個人事業主の所得次第では売上のないマイクロ法人で二刀流で事業を行うメリットはあまりありません。勉強代として割り切るか、今後の売上に期待するか、いずれにしても事業に真剣に向き合う必要がありそうです。

売上がない場合のマイクロ法人の資金繰り

売上がないのにマイクロ法人の経費・諸費用はどうやって払うのか?

売上がなくても保険料の最適化ができること、個人事業主で一定所得があれば売上0でもお得であることはわかりました。問題は売上がない場合、年間50万円程度の維持費と役員報酬をどのように工面するかです。

私がまず考えたのが「個人のポケットマネーから..」でした。保険料がお得になるので会社は作りたい、維持費は個人の売上や貯蓄等から払えるならいいですよね。どんな方法があるのか見ていきましょう。

資本金を使う

会社を設立した時に入れた資本金は事業を運営するための費用として使えます。資本金100万円で会社を設立した場合、マイクロ法人にかかる費用が年間50万円程度なら、初年度に売上がなくても維持費や社保等は支払うことができて会社は成り立ちます。

資本金は謄本に登記されているし使ってはいけないものでは?という概念があったんですが調べていくとそんなことはありませんでした。資本金が0になるまで経費として使っても問題ありません。

役員借入金を使う

資本金を使い切ってしまった場合でも手はあります。役員借入金を利用します。

役員がマイクロ法人にお金を貸して法人のキャッシュを増やします。役員借入金は無利子・返済期限を未定のまま法人に貸付をすることもできます。特に二刀流の場合は一人法人のケースが多いので、他の役員の承認を取るなどの処理もなく、自分の意思で貸付できるので使い勝手がいいいです。イメージとしては自分のお金を個人と法人でぐるぐる回している感じです。

借入金なのでバランスシートの見栄えは悪くなります。ただ社保の最適化が目的のマイクロ法人なら銀行融資を受ける予定はほぼないと思いますし、売上が安定するまでの応急措置としては十分使えるものだと思います。

増資は?

資本金が足りなくなれば増資すればいいのでは?とも考えました。しかし増資すると別途登記費用がかかるため役員借入金を利用するのが一般的なようです。役員借入金を資本金に振り替える…なんて処理もあるようですが、法人1年生にはハードルが高いのでシンプルに役員借入金を利用すればいいと思います。

売上がない場合の役員報酬の決め方

役員報酬って一度決めたら毎月払わなくちゃいけないんだよね?売上がなかったらどうすればいいの?

売上がわからないし最悪ゼロかもしれない、その場合役員報酬をどうすればいいのか考えていきます。

マイクロ法人では役員報酬を毎月45,000円以下で出すと給与所得控除55万円に収まり所得税がかからないという説明がよくされています。この場合、売上が80万円程度であれば利益がほぼ0になり法人税も最低金額になります。

【例】

ただし、この図ように役員報酬を損金扱い(所得金額に含めない)ようにするには役員報酬を毎月決められた金額支払わなくてはいけません。

*社保や役員報酬の支払い方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています
マイクロ法人、社会保険加入後にすることのすべて

【役員報酬の定期同額給与について】

・役員報酬は会社設立後3カ月以内に決める必要がある
・役員報酬を決めて同意書を作成して保存しておく(届出は不要)
・一人法人の場合、役員報酬は毎月法人口座から個人口座に振込み

役員報酬を0にすると社会保険に加入できない

役員報酬は0円にすることができるので、特に初年度の売上の見通しが立たない時には0円にできれば安心できそうです。

しかし社保の最適化のためにマイクロ法人を作る目的なので、役員報酬を0にすると社保に加入できません(年金事務所に加入を断られます)。社保に加入できなければ個人で国民健康保険と国民年金に加入することになるのでマイクロ法人を設立する意味がありません。

役員報酬を最低金額で設定する

社保に加入することが前提で、役員報酬の最低金額は約12,000円と言われています。こちらは東京都の社保の保険料の表です。

会社は役員報酬から社会保険料を天引きして支給します。最低の標準月額報酬(ピンク枠の部分)10,905円(健康保険料:2,853円 + 厚生年金保険料:8,052円)は天引きして役員に振込みします。この天引き後にマイナスにならない基準が約12,000円です。

役員報酬を12,000円に設定して、給与天引きして個人に振り込む金額は月1,000円程度。

先程の個人事業主とマイクロ法人の二刀流の費用に加算すると

健康保険料:5,707円 * 12ヶ月
厚生年金保険料:16,104円 * 12ヶ月
会社維持費用:年20~30万円
役員報酬(天引後):約12,000円

合計:約472,000~572,000万円

売上がなくてもかかる合計費用がざっくりこのくらいです。この金額を補填できるように資本金か役員借入でキャッシュを用意しておくという計算になります。

今後の私のマイクロ法人計画

副業経験もない、法人設立経験もない私ですが「なんとなかるだろう」という気持ちで個人事業主とマイクロ法人の二刀流を始めました。

会社を設立して2ヶ月、まだマイクロ法人の売上は数千円しか立っていないので会社のキャッシュがなくなったら役員借入を利用する予定です。(資本金10万円で設立したため)

ただし、個人的には役員借入でキャッシュを回していくのは初年度のみにしたいなと思っています。ネットで調べると役員借入金で売上なしでも数年回せるという例も出てきますが、借入なしにちゃんと経費を賄える程度に売上を上げるのが目標です。

もしも本業が忙しくて副業が難しいなら二刀流ではなく本業を法人成りして法人一本で事業を行う選択肢を考えます。

個人事業主とマイクロ法人の二刀流と法人一本はどっちがお得?

法人一本は会社にお金が残ることになりますが、節税にもなり借入金に頼らずともしっかりメイン事業ができるので心理的に楽かなと。借入金やお金を回すようなことが煩雑に思ったり、副業の売上目処がしばらくしても立たない方は法人一本を検討してもいいと思います。

まとめ

最悪売上が立たなくてもマイクロ法人で社保が最適化でき、法人の維持もできることがお分かりいただけたと思います。

注意するポイントは

  • 個人事業主の所得次第では二刀流の方が負担が大きい
  • 社保に加入する以上、役員報酬は一定額以上に設定する必要があること
  • 法人の資金繰り

個人事業主とマイクロ法人の二刀流の場合、個人のお金と法人のお金が区別しにくく、個人事業主で利益が出て自身の生活は問題ないのでマイクロ法人側の資金繰りのことを忘れがちになります。法人は法人でちゃんとその中で資金繰りをして、支払いをしていく必要があることを押さえておかなくてはいけません。

また会社維持費も考慮すると個人事業主の所得金額次第では「お得」じゃなくなります。さすがにそうなるとマイクロ法人の設立に尻込みしてしまいそうですが

空箱があれば何か入れたくなる

売上の見通しが立たずに不安になることもありますが、マイクロ法人という箱を作ればきっとそこで新しい事業をして形になっていきます。年間80万円の売上も徐々に現実になっていくはずなので、初年度は勉強代として割り切るのもありだと思います。

マイクロ法人を作る場合はこちらの記事で詳しく設立方法を解説しているので覗いてみてくださいね。

マイクロ法人の合同会社を1人で作る【社保申請まで完全ノウハウ】

何事もチャレンジ!新しい道を切り開いていきましょう。

以上、お読みいただきありがとうございました♪

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