個人事業主とマイクロ法人の二刀流と法人一本はどっちがお得?

個人事業主とマイクロ法人の二刀流と法人一本はどっちがお得? キャリア

個人事業主とマイクロ法人の二刀流はお得ということはわかったんだけど、法人一本でやる場合と比較するとどうなの?

前の記事で、個人事業主とマイクロ法人の二刀流は「社保の最適化」ができ、個人事業主だけでやる場合と比較して保険料がかなりお得ということを解説しました。

会社員から個人事業主へ。マイクロ法人の二刀流は本当にお得?!

ここで「法人一本でやる場合はどうなんだろう?」という疑問も湧くと思います。個人事業主から法人になる「法人成り」と言う言葉もあるくらい法人だけで事業を行うことにもメリットがありそうです

私は元々会社員のITエンジニアでしたが先日独立してました。その時に同じように疑問をもって「個人事業主とマイクロ法人の二刀流」と「法人一本でやる場合」の比較をしました。

結論を先に言うと、私は個人事業主とマイクロ法人の二刀流を選びました。法人一本だけにするメリットがあまりない、と感じたからです。

この記事では私が実際に行った個人事業主とマイクロ法人の二刀流と法人一本だけにする場合の比較をしていきたいと思います。

この記事を見ればこんな疑問が解決します。

・法人の税金メリットってなに?
・法人一本でやる場合の税金・保険料の考え方の注意点

・役員報酬をいくらにするといいのか?
・個人事業主とマイクロ法人の二刀流と比較してどちらがお得なのか?

では始めましょう♪

個人事業主とマイクロ法人の二刀流と法人一本はどっちがお得?

マイクロ法人と個人事業主の二刀流のメリットおさらい

個人事業主とマイクロ法人の二刀流は社保の最適化できてお得ということはこちらの記事で詳しく解説しています。

会社員から個人事業主へ。マイクロ法人の二刀流は本当にお得?!

簡単におさらいすると、

  • 個人事業主で所得税・住民税
  • マイクロ法人で社会保険

というように税金と社保の支払いを分けることができます。

これを活用するとメイン事業の個人事業主でたくさん稼いでもマイクロ法人側で最低限の料金で社会保険に加入できるというメリットがあります。手当の薄い国民健康保険ではなく健康保険に加入できるというメリットも享受できます。

法人で事業を行うことのメリットは?

法人成りって言葉もよく聞くけど法人にするメリットってなに?

法人成りとは個人事業主が法人になることです。ITエンジニアの中でも数年間個人事業主で事業を行い、その後法人化するというのはよくある話です。具体的に法人にすることでどんなメリットがあるのかまずは確認してきましょう。

1. 法人税率が個人の所得税より低くなることがある

個人は所得金額に応じて所得税を払うように、法人も法人税を支払います。下の表で税率の違いをみてみましょう。

【法人税率】

【個人所得税率】

法人税率は所得が800万円以下であれば15%、800万円を超える部分は23.2%
一方個人の所得税率は所得に応じて5%~45%

単純に税率だけ比較すると、個人の所得税率が20%以上の方は法人になったほうが税金の負担が少なくなりことがあります。

2. 消費税の免税期間等

売上が一千万円を超えると個人事業主でも消費税の納税義務が発生しますが、2年前の売上高が基準になるので2年間は納税が免除されます。その後法人になるとさらに2年間免税になるので合計4年間の免税期間が得られます。よく「売上一千万円超えたら法人成りするタイミング」というのはここからきています。

ただし2023年にはインボイス制度がはじまることもあり、私は今からでも売上金額に関わらず消費税は支払う必要があると考えておいた方がいいと思いました。なのでここのメリットについては考えないことにします。

3. その他

法人のほうが社会的信用が高いなどのメリットもあります。人を雇用する場合があるなら雇用主が個人か法人かは大きな問題になります。私の場合は一人でIT事業をするだけなので信用については特に重視しません。

それぞれの税率をシミュレーションしてみる

法人にする大きなメリットは法人税率が個人の所得税率よりお得になることがある、ということがわかりました。

そこで個人事業主とマイクロ法人の二刀流の場合と法人一本の場合の税率を考えてみます。二刀流では個人事業主でメイン事業(私の場合はITエンジニア)を行うのでここでかかる所得税率がどのくらいになるのか試算してみます。

前提条件の確認

独立前の私の状況です。これを前提に解説していきます。

  • ITエンジニアとして会社員から独立する
  • 独立後の年間売上は1,000万円程度
  • 法人一本でやるか、個人事業主とマイクロ法人の二刀流でやるか迷っている

二刀流の場合の個人事業主の所得税率は何%?

こんな感じで試算してみました。

経費・家事按分などはざっくりで、マイクロ法人で最低金額で社保を最適化する前提です。この所得金額を先ほどの所得税率の表と照らし合わせると所得税率は20%になります。

法人一本の場合、法人税率は何%?

法人の所得金額(益金-損金)を算出すればいいのですが、売上一千万円と仮定すると経費もろもろ考えて800万円以下になるのは間違いありません。なので法人税率は15%

結果

  • 二刀流の場合の個人事業主の所得税率:20%
  • 法人一本の法人税率:15%

税率だけ考えると法人一本にするメリットがありそうです。

役員報酬をいくらにするか問題

法人の方が税率が低いなら法人一本でやればいいんじゃない?

そんな単純な話じゃないのが法人の難しさ。役員報酬をどうするか問題が残ってるよ

個人事業主の場合、基本的に売上は個人のものなので個人で自由に使えますが法人の場合はそうもいきません。たとえマイクロ法人(一人法人)でも法人の利益を個人で勝手に使うことはできないので、自分が使う分は「役員報酬」という形で給料として出す必要があります

個人事業主とマイクロ法人の二刀流では社保が最低金額になる月45,000円以下に設定していましたが、これは個人事業主側の利益が自分のお金になるからです。法人一本の場合はそうはいきません。生活ができるレベルに役員報酬を出さなくては使えるお金がないと言う事態になります。

私の場合、普段の自分の生活費を考えても年間400万円以上は役員報酬を出したいと考えました。

手取り計算|月収と年収のシミュレーション | ファンジョブ

こちらのサイトも使いながら法人と個人の総額の税負担を計算していきます。

*所得税・法人税以外にもかかる税金はありますが簡易なシミュレーションのため無視しています

ケース1:個人の役員報酬を400万円、法人の利益を100万円程度残す

社会保険料(会社・個人)と税金(個人):約131万円(462万円 – 331万円)
法人税:約15万円(100万円 * 15%)
個人と法人の総額税負担:合計約146万円

ケース2:個人の役員報酬を500万円、法人の利益をほぼ0にする

社会保険料(会社・個人)と税金(個人):約162万円(575万円 – 413万円)
法人税:約7万円(最低法人税)
個人と法人の総額税負担:合計約169万円

ここから分かる通り、個人にお金を残そうと役員報酬を高くすると社会保険料や税金が高くなってしまいます。税負担を考えると、法人一本でやる場合は役員報酬を自分が生活できる最低限にしておくのが良さそうということがわかります。

ケース3:個人事業主とマイクロ法人の二刀流の場合

前提
・個人事業主の課税所得が540万円程度
・マイクロ法人では売上80万円程度で利益はほぼ0にして、役員報酬は45,000円にする
個人と法人の総額税負担:合計約152万円

二刀流の場合は、個人事業主側の税金、個人と法人の負担の社保、法人税の合計を算出しました。

ケース1の法人一本の場合は146万円だったので比較すると約6万円の高くなりました。かな〜りざっくり計算なのですが、役員報酬を低めに設定すればやはり法人一本の方が節税できるということがわかりました。

結論:私が法人一本にしなかった理由

さて、ここまでの検証で法人一本のメリットがいくつか見えてきましたが、それでも私は法人一本にせず、個人事業主とマイクロ法人の二刀流を選びました。

法人の方が税率は低く、役員報酬の金額を最低限にすれば法人一本でやった方が節税メリットはある。ただ、思ったほど差が出なかったのと役員報酬を切り詰めると自分が個人として自由に使えるお金が少なくなるのがネックと考えました。

つまり法人にお金を残すか、個人にお金を残すかという選択肢を重視しました。

事業を拡大して法人を大きくしたい場合や設備投資にお金がかかるようなビジネスなら法人に利益を残すのはいいと思いますが、私の場合はIT関係の仕事を一人でするだけです。法人に利益を残しておいて401Kで資産運用もできますが、それなら個人の蓄財や投資資金に充てるほうがお金の管理がしやすいと思いました。

私が法人一本にしなかった理由

・二刀流と比較して節税メリットがそこまでなかったから
・法人で人を雇ったり外注する予定もないから
・利益は個人資産として管理する方がわかりやすいから

こんな理由で私は法人一本ではなく個人事業主とマイクロ法人の二刀流でやることに決めました。いずれ考え方が変わった時には法人一本にいつでもできるので、まずはイメージしやすい方から始めてみようという感じです。

まとめ

法人一本と個人事業主とマイクロ法人の二刀流の比較をしてみました。私は二刀流でやることを決めましたがみなさんはどう感じましたか?この疑問、私が独立するタイミングですごく悩んだことですが、ネット記事をみても解決できなかったので自分で行った計算・シミュレーションをまとめてみました。

法人一本とマイクロ法人と個人事業主の二刀流の比較、ポイントは

  • 法人税と所得税の税率の違い
  • 役員報酬をいくらにするか
  • 事業目的で法人と個人どちらにお金を残す方がいいのか

このあたりをよく考えてみると答えが導き出せるはずです。自分にあった形で法人を作って活用していきましょう。

法人を作る場合は知識がなくても外注せずに一人で作れます。こちらの記事で詳しく解説しているので参考にどうぞ。

マイクロ法人の合同会社を1人で作る【社保申請まで完全ノウハウ】

以上、参考になることがあれば嬉しいです。

お読みいただきありがとうございました♪

*当方専門家ではないため、記事内の計算に間違いがあることもあります。税金・社会保険の詳しいことについては専門家にご確認ください。

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