年末が近づくと税務署や役所からの書類がたくさん届きますね。今回はそのうちの一つ、償却資産申告書について解説します。
この書類、最初は「私はIT事業しかやっていないし資産なんて持ってないから提出しなくていいでしょ〜」と思っていましたが、よく調べてみるとパソコンを購入していたので申告が必要でした。そして申告する資産がない方でも提出は必須です。どのように書類を書いて提出するのかを確認していきましょう。
個人事業主とマイクロ法人の二刀流で事業をしている私も、ここに記載の手順で問題なく受理されました!
- 申告したら税金がかかる..?
- 30万円未満のパソコン等の申告方法
- 申告資産がない場合の書き方
- 個人事業主とマイクロ法人二刀流の場合の注意
では始めましょう♪
30万円未満のパソコンも!償却資産申告書の書き方
償却資産申告書とは
12月初旬、マイクロ法人宛にこんな書類が届きました。
償却資産申告書の書類です。償却資産とは基本的に会計ソフトの「固定資産台帳」に載っている不動産や工具・機器などで、どんな資産を持っているのか、その資産に対してかかる税金を計算するために市区町村に申告します。税金の計算は市区町村が行うので私たちは申告するだけになります。
ちなみに私の個人事業の固定資産台帳がこちら
無料の確定申告自動化ソフト マネーフォワード クラウド確定申告
申告資産なんてないよね…?と思っていましたがちゃんと登録していました。30万円未満のパソコンです。IT事業の場合でも私のようにパソコンを購入したり、机・椅子・モニター・コピー機など償却資産になりそうなものは多いです。固定資産台帳に登録し忘れていないか、少額減価償却資産を使おうと思っているものがないか、など確認していきましょう。
提出対象者
1月1日現在にその市区町村に償却資産を所有している法人・個人事業主です。
年末調整などと同じく、償却資産がない場合でも「該当資産なし」として申告が必要になります。「所有している…」と書いてあるのに所有していない人も対象というのはわかりづらいですよね…。要はその市区町村で事業を行っている人は提出の対象ということです。
私の場合、個人事業主の開業届は出していますが、市役所から送られてきた書類は法人宛のみでした。個人事業主とマイクロ法人の二刀流で事業をしている人は両者で提出することになります。
注意したい申告資産
個人事業主とマイクロ法人の二刀流で事業を行っている人の場合、注意したいのが中小企業の特例・少額減価償却資産を利用して30万円未満で購入したパソコンなどを一括償却するケースです。この場合は償却資産申告書で申告が必要になります。
パソコンを購入と言っても、例えば20万円未満で3年間の均等償却で減価償却する場合は対象にならないようです。少額減価償却資産が使えるのでこの償却方法を使う人は少ないとは思いますが、改めてどのような方法で償却するのか考えて対象の資産を洗い出しておきます。
免税点
150万円未満であれば申告した資産に対して税金はかかりません。税金がかからなくても申告書の提出は必要なので忘れないようにしましょう。
提出期限
1月31日までに1月1日時点で保有している償却資産を申告します。
申告方法には一般方式と電算処理方式があります。事業を始めた初年度は保有しているすべての償却資産を申告しますが、一般方式で2年目以降の申告なら資産の増減を申告することになります。
一般方式は、初年度に申告対象の全償却資産を申告し、2年目以降は償却資産の増加や減少についてのみ申告する方法です。償却資産の評価額は自治体側が行うため、申告に必要な内容が簡易的です。一方、電算処理方式は、毎年すべての償却資産を申告し、評価額の計算も事業者側で行う方法になります。償却資産の増減が多くない場合は一般方式が便利ですが、法人などで償却資産の増減の多いケースでは、作成ソフトなどを使い電算処理方式で申告する方が作成は容易な場合もあります。
https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/49775/
提出方法
市区町村にもよりますが、基本的な提出方法はこちら
- 窓口持参
- 郵送
- eLTAX
給与支払報告書の記事でもお話ししましたが、eLTAXはWindowsでしか使えません。記入するのにそこまで面倒な書類ではないので、以下の章では郵送で提出する方法を解説します。
償却資産申告書の書き方
提出書類の入手方法
二刀流で事業を行っている人は個人事業主とマイクロ法人両方で書類を提出します。書類は市役所から送られてきたものを利用します。私の場合、個人事業主の分の書類が来なかったので役所のHPからダウンロードしようとしましたが…ありませんでした😱
調べてみると東京都(23区)のものを使っても良さそうだったのでこちらからダウンロードしたものを使います。
申告する償却資産がある場合
では実際に書類を書いてみましょう。まず、私は個人事業で中小企業の特例・少額減価償却資産で約23万円のパソコンを購入したので申告します。
【少額減価償却資産で約23万円のパソコンを購入】
パソコンは6の工具器具及び備品にあたるので、6の欄の「前年中に取得したもの」に取得価額を記入します。市区町村における事業所等資産の所在地はその資産がある場所を記入します。基本的に自宅や作業場になると思います。
種類別明細書
申告する資産がある場合はその明細書も作成します。今回初めての償却資産申告なので「全資産用」に○をしています。
注意すべきポイントは資産の耐用年数です。30万円未満の少額減価償却資産を利用して一括で償却するパソコンですが、耐用年数は一般的なパソコンの耐用年数の4年を記入します。耐用年数はこちらで調べられます。
申告する資産が多い方はまずは明細書から作成して、最後に申告書を作成するといいでしょう。
申告する償却資産がない場合
続いてマイクロ法人です。マイクロ法人では特に申告する資産がありません。明細は必要ないので「償却資産申告書」のみ記入していきます。
合計欄は0、備考に「該当資産なし」と記入するだけです。
*上記の記入例は一例です。詳しい記入方法はそれぞれの市区町村の手引き書に従ってくださいね
償却資産申告書の提出
作成した書類を市区町村窓口に郵送します。住所や窓口名は郵送されてきた手引き書に記載されていることが多いですが、わからなければ問い合わせてみましょう。
償却資産申告書は受付印の押された控えが出るので、返信用封筒も同封しておくといいでしょう。上の例のようにPDFからダウンロードした申告書は控はないので、自分で記入済みのものをコピーして(控)と書いて同封しました。
まとめ
この記事では償却資産申告書の書き方・提出方法をご紹介しました。償却資産の管理は会計ソフトの固定資産台帳を利用していきます。私は会計ソフトを個人事業主ではマネーフォワードクラウド確定申告、マイクロ法人ではマネーフォワードクラウド会計を利用しています。クレジットカードや銀行口座との連携はもちろん、電子帳簿保存法に則った領収書管理もできてこれ一つで税理士に外注しなくても一人で事業ができます。
まだ会計ソフトを導入していない方・変更を検討している方は1ヶ月無料で試せるので使ってみてくださいね。
以上、お読みいただきありがとうございました!
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